平成28年度の確定申告を経て気になった点として、第1弾は”源泉徴収票なし”を挙げたいと思います。
相談会などでトラブルとして多かったのは、収入の証明として給与の源泉徴収票や公的年金の源泉徴収票がない、というものでした。
結論から言いますと、どちらにしろ、原則、1年間の全ての源泉徴収表がないと確定申告をすることは出来ません。
1.給与の源泉徴収票
(1)会社が発行してくれない
色々な事情があって会社が源泉徴収票を発行してくれない場合があると思います。
しかし、これは自己責任になりますので、酷なようですが、自分で会社に源泉徴収票を発行してもらうようにお願いするしかありません。
(2)一部の源泉徴収票のみで確定申告したい
何度か相談会でもあったのですが、年末調整した会社の源泉徴収票は持ってきていない、それ以外は持ってきたので、持ってきたものだけで確定申告したい、という方がいました。
この場合、年末調整した会社は、その会社での給与だけで年間の所得を計算、それ以外は確定申告に持ってきた源泉徴収票だけで年間の所得を計算、となりますので、不正な還付を受けることになってしまいます。
絶対にやってはいけない行為です。
還付となる申告の場合は、期限は所得を受けた翌年の3/15ではありません。全ての源泉徴収票を集めてから、確定申告しましょう。
2.公的年金等の源泉徴収票
(1)年金の支払通知で代用
公的年金の支払を受けている方には、源泉徴収票とは別に、年金の支払通知がハガキで送られてきています。
これを源泉徴収票の代わりに添付して確定申告する方もいるようですが、NGです。
年金の支払通知では年間いくらの収入があったのかはっきりしません。
源泉徴収票が発行されていないことは、まずありえませんので、紛失した場合は直ちに再発行の手続きをしましょう。
(2)社会保険の天引があるにもかかわらず源泉徴収票がない場合
公的年金の支払からは、天引きとして社会保険料(国民健康保険、介護保険など)が差し引かれている場合があります。
こういった天引きでの支払を”特別徴収”と言いますが、その特別徴収があるにもかかわらず、公的年金の源泉徴収票なしで確定申告をしようとする方がいらっしゃいますが、これもNGです。
年金受給者で、社会保険料の特別徴収がある場合、絶対ではないですが、まず間違いなく公的年金の源泉徴収票があるはずなので、確定申告する際には、必ず源泉徴収票を用意してください。
例外的に源泉徴収票なしで確定申告を終えたとしても、還付の場合は、還付猶予(はっきりわかるまでは還付しない)となります。
速やかに源泉徴収票を取り寄せて、所轄の税務署に送付することをお勧めします。